オランダ福祉【認知症の住人が暮らす村】ホグウェイってどんな施設?

こんにちは!みるmillです。

オランダは世界の中でも有数の福祉先進国

スーパーやお店に買い物に行くと、電動車椅子に乗った高齢者が買い物をしている姿をよく目にします。

電動車椅子でも走ることができる自転車道路が整備されているため、より自由に行動できる範囲が広がります。自宅で寝たきり防止にもつながりますよね。

電車やバスや図書館など公共機関でもバリアフリーを感じることがよくあります。

そんな福祉国のオランダに、認知症の人が自立して生活できる、認知症村と呼ばれている「ホグウェイ」があります。かねてから訪れてみたかった施設なので、今回機会を頂いて行ってみることにしました。

今回はその様子について書きたいと思います。

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ホグウェイへの行き方

ホグウェイまでは車か電車で行く方法があるようですが、私はアムステルダムから電車に乗って行きました。
ホグウェイはweesp(ウエースプ)という町にあり、アムステルダムから電車に乗る場合はsprinter(各駅停車)に乗って、約15分ほどでweesp駅に到着します。

駅からは住宅街を歩いて約10分ほどでホグウェイに到着します。
ちなみに、アムステルダムから車で行くと約20分ほどです。

住宅街をひたすら歩いていきます。

ホグウェイの入り口です

2009年からスタートした世界的にも有名な施設

ホグウェイは2009年から世界に先駆けて始まった取り組みの施設です。

2013年のイギリスの雑誌ガーディアンに「認知症者のためのテーマパーク」と報じられたことで、世界から注目される施設となりました。今でも世界中から福祉関係者などが視察に来るようです。

施設内にはレストランや映画館やカフェ、スーパー、理髪店や木工店などがあり、本当に小さな町のようです。
通りの名前の標識もあり、施設内で迷わないような工夫がされています。

一方、住宅の前には小さな池や庭があったりと、安らぐことができる空間になっています。

施設内には、とても穏やかな空気が流れていました。

※今回、利用者は写さない条件のもと、撮影許可をいただきました。

 

メイン通りの一角です

 

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ライフスタイル別に7つのグループに分かれて生活

ホグウェイでの生活はグループ単位です。

個人の興味関心や、今までの生活スタイル、宗教などに基づいて、入居はじめにグループ分けがされます。
日本でのグループホームに似ていますが、「高齢者のライフスタイルに合わせてのグループ」という点が特徴です。

7つのグループは以下の通りです。

保守タイプ(Traditional)伝統を重んじる人
芸術タイプ(Cultural)芸術や音楽を好む人
アーバンタイプ(Urban) 都会的な生活を好む人
インドアタイプ(Homely)
インドネシア(Indonesian)旧オランダ領インドネシアで生活していた人など
セレブタイプ(Well-to-do)上流家庭で育ってきた人など
クリスチャン(Christian)

普段は属するグループで生活していても、グループ以外の人にも、クラブに属したり、施設内のショップやカフェに出かけることで交流することができます。入居後にグループを変えることもできます。

施設に入居したことで、今まで生活してきたライフスタイルを突然変えるのは難しいこと。

ましてや認知症になると、新しい環境にはより混乱や不安を抱いてしまいます
今までの生活スタイルにできるだけ近づけるためにも、その人に合ったグループとしているのですね。

 

2階へは自動運転のエレベーターで行けます。施設の扉などは全て自動開閉です。

ホグウェイのスタッフの関わり方

ここでの入居者は約150人に対しスタッフは約250人、夜勤は入居者30人に対して1人の配置だそうです。

ホグウェイでは障害があっても自立的な生活が送れるように、介護者という立場よりは、なんでも相談できる友人のような存在での関わり方をしているように感じました。

散歩をしている時には良き話し相手になる、アクティビティをしている時には一緒に楽しむ、などもその一つ。働くスタッフには、介護職の人が着るような制服などもありません。

では、スタッフ以外の人との交流はどうやって図るのか?
ホグウェイでは、地域住民であればホグウェイの中のレストランやカフェなどを利用しても良いそうです。
そのような機会を作って、できるだけ地域の人との交流ができるようにしているそうです。

オランダらしいこんなオブジェも安らぎます

費用は高額、でも保険で賄われます

気になる入居費用、その額は日本円で約70万円ほどだそうです。

かなり高額ですが、生活全般や医療・介護的ケアに関わる費用全てが含まれています。
入居者の資産状況にもよりますが、基本的にはオランダの社会保障制度で賄うことができます

自由は幸福と同じこと

ホグウェイの施設案内にはこんな言葉が書かれていました。

施設内では、生活者たちは思い思いに施設内を散歩したり、外で日向ぼっこをしたり、趣味の時間を楽しんでいました。

一見閉ざされた空間には見えますが、新しい環境や周囲の変化に戸惑いやすく混乱しやすい認知症の人にとっては、慣れた空間で慣れた人々と一緒に穏やかに暮らすのは、安心につながるのではないかと思いました。

ホグウェイ内では、認知症でも自由に過ごそうと思えば過ごすことができる環境があります
障害のせいで間違ったことをしてしまっても誰もとがめる人はいません。
万が一、施設内で迷ったり、自身ではできないことがあっても、すぐに職員が手助けしてくれます。

いろんな施設の形はありますが、個人的な意見としては、認知症のお年寄りが安心して暮らせる場所としては、私はオランダらしく理にかなった施設だなと思いました。

以上、認知症村ホグウェイについてでした。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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